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国際社会や日本人はタリバン政権といかに対峙すべきか?【レシャード・カレッド×中田考】第3回

「タリバン復権の真実」と「今、アフガンで生きる民間人の実情」を知りたい。

レシャード・カレッド医師

■日本人がアフガニスタンにできる「支援」とは?

 

中田:先生たちが運営されているカレーズの会の活動に対して、今我々が日本にいて、具体的にできることは何があるのか、お話を頂けますか?

 

レシャード:基本的に、私が日本の人々に対して一番重要なこととしてお話させていただくのは「関心を持っていただく」ことです。

 関心がなければ、よそ者のことは全く知らんぷりで、よそで起こっていることなんて知りもしない。ですから、まず興味を持っていただく。なぜ、こういう状況が発生して、今どんな状況にあるか?そしてこれからどうなっていくのか?あの国の人たちは、これからどんな運命を辿っていくのか?という辺りのことに興味をもって、継続的に見ていただく。関心をもってフォローしていただくというを、僕は一番お願いしたい。

 関心を持ち、知ることによって、その先に、それでは自分はどういう形で手を出せるのか?支援するか?ということが出てきます。

 私は今も大学で講義をしています。学生たちには関心を持つこと同時にもうひとつ、「自分が人を助けると思うな」とお話しています。

「助ける」というおこがましい話ではなく、ちょっと自分ができる範囲内のことを一緒にやってみようという発想で、物事を始めなさい。そうすると自分の負担にもならないし、無理しなくて済んでしまう。それでできる範囲内のことをみんながやればいいわけなんです。時には、それで何もできないこともあるでしょうが、「関心だけでは可哀想だね。なんとかしてくれよ」と願ってくれるだけでもありがたいことなんですよ。

 我々が運営している「カレーズの会」では、教育、医療、予防接種やお産にと、いろいろな大切なことをやらせていただいています。我々は今のところ、その活動に対して政府から一銭ももらっておりません。会員のご支援、会費といったもので、あるいは我々が自分たちで、ある程度都合をつけてやってきている活動なんです。

 そういう意味では、皆さんの行為によって成り立っている組織であることを知っていただくことが私は一番大事なことだと思います。その上で、皆さま方のお気持ちでどこまで支援していただけるのか、ぜひとも考えていただきたい。その上でご支援していただければ本当にありがたいですし、他の組織が対応できない分、我々の患者さんがどんどん増えていますので、大変期待もしています。

 二つ目に、我々は教育の分野でも活動をしていて、2009年に学校を作りました。定員480人の学校に今1600人も通っているんです。小学校として作ったら、そのまま皆学年がどんどん上がっていって、中学校になって今は高校になって、とそのまま上へ上がっていっているんです。今、高校二年生までいますので、来年は高校三年生までになって、そのまま高等部になっていくという形になります。校舎に入れないので、テントを張ったり、青空学級をやったり、今は三交代で教えるようにしています。教師が32人しかいなくて、そのうち女性が2,3人しかいない。それで第1回目は7時から11時で女の子を教え、第2回は11時から15時で低学年、第3回は15時から夜までで高学年、の3交替制にしました。タリバンがくる前から、男女別で勉強している形になっていたので、タリバンも、何も問題がない、と言ってくれました。ありがたいことに、600人近く女の子が勉強しています。

でもその子供たちには、教科書が足りていません。教科書、ノート、ペンは3人に1つくらいしかありません。それをお互いに仲良く使ったり、回して読んだりしています。

 そういう当たり前の生活、当たり前の勉強、当たり前のことがなかなかできていないというのが現状です。

 今、私たちの仲間がランドセルを集めています。日本の場合、ランドセルは、使い終わったら廃棄するだけですよね。それを日本で集めてこちらに送っていただいて、子供たちに配ると、子供たちは本当に大喜びなんです。日本の子供たちが、その中に鉛筆を23本入れてくれていたり、ノートを一冊入れてくれていたりとか。自分の絵を描いて出してくれているものもあります。そういうのを見ると、もう子供たちは涙が出るほどのうれしさで、それを見て私は本当に感動しています。捨てるランドセルでも喜ばれる。できることがあるんです。

 もちろん薬を買うお金も必要ですし、働いてくれている人たちの給料のためにもお金は必要です。必要なものはいろいろありますけれども、そういう意味では「気持ち」ということが一番大事だということを、私は一番分かっていただきたい。このインタビューを通じてこの想いが伝われば、大変ありがたいことです。

  

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◉中田考『タリバン 復権の真実』出版記念&アフガン人道支援チャリティ講演会

日時:2021年11月6日 (土) 18:00 - 19:30

場所:「隣町珈琲」 品川区中延3丁目8−7 サンハイツ中延 B1

◆なぜタリバンはアフガンを制圧できたか?
◆タリバンは本当に恐怖政治なのか?
◆女性の権利は認められないのか?
◆日本はタリバンといかに関わるべきか?
イスラーム学の第一人者にして、タリバンと親交が深い中田考先生が講演し解説します。
中田先生の講演後、文筆家の平川克美氏との貴重な対談も予定しております。

    参加費:2,000円 
    ※当日別売で新刊『タリバン 復権の真実』(990円)を発売(サイン会あり)

    ◉お申込は以下のPeatixサイトから↓

    ★内田樹氏、橋爪大三郎氏、高橋和夫氏も絶賛!推薦の書
    『タリバン 復権の真実』

    《内田樹氏 推薦》
    「中田先生の論考は、現場にいた人しか書けない生々しいリアリティーと、千年単位で歴史を望見する智者の涼しい叡智を共に含んでいる。」

    《橋爪大三郎氏 推薦》
    「西側メディアに惑わされるな! 中田先生だけが伝える真実!!」

    《高橋和夫氏 推薦》
    「タリバンについて1冊だけ読むなら、この本だ!」

     

    ※イベントの売上げは全額、アフガニスタンの人道支援のチャリティとして、アフガニスタン支援団体「カレーズの会」に寄付いたします。

    ※上のカバー画像をクリックするとAmazonサイトへジャンプします。

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    なかた こう

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    中田考(なかた・こう)
    イスラーム法学者。1960年生まれ。同志社大学客員教授。一神教学際研究センター客員フェロー。83年イスラーム入信。ムスリム名ハサン。灘中学校、灘高等学校卒。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院哲学科博士課程修了(哲学博士)。クルアーン釈義免状取得、ハナフィー派法学修学免状取得、在サウジアラビア日本国大使館専門調査員、山口大学教育学部助教授、同志社大学神学部教授、日本ムスリム協会理事などを歴任。現在、都内要町のイベントバー「エデン」にて若者の人生相談や最新中東事情、さらには萌え系オタク文学などを講義し、20代の学生から迷える中高年層まで絶大なる支持を得ている。著書に『イスラームの論理』、『イスラーム 生と死と聖戦』、『帝国の復興と啓蒙の未来』、『増補新版 イスラーム法とは何か?』、みんなちがって、みんなダメ 身の程を知る劇薬人生論、『13歳からの世界制服』、『俺の妹がカリフなわけがない!』、『ハサン中田考のマンガでわかるイスラーム入門』など多数。近著の、橋爪大三郎氏との共著『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)がAmazon(中国エリア)売れ筋ランキング第1位(2021.9.20現在)である。

     

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